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【イベントレポート】絵本で触れるセンスオブワンダー


 

2021年12月8日(水)に、フリーアナウンサーでSENSE OF WONDERを主宰する松尾翠さんと、弊社シンクアロットの共同で、オンライン無料セミナー『絵本で触れるセンスオブワンダー』を開催いたしました。200を超える園関係者の方にご登録いただきましたこのイベントの様子をご報告いたします。

 

■目次

Q&A

 

■イベント概要


「本から繋がる」をコンセプトに「体験すること」「感じること」を大切にオンライン本屋さんや読み聞かせのイベント、執筆など幅広く活動しているプロジェクトチーム『SENSE OF WONDER』。この『SENSE OF WONDER』を主宰しているフリーアナウンサーの松尾翠さんと幼稚園・保育園向け世界交流を幼児特化プログラム『EN-TRY』を通じ提供している弊社(株式会社シンクアロット)にて、”絵本の読み聞かせでこどもたちの世界観をひろげよう 絵本で触れるセンスオブワンダー”をテーマに共同開催したイベントです。

松尾さんが選ぶ”こどもたちの世界観をひろげる”おすすめの絵本の紹介や、読み聞かせで大切にしていることなどをお伺いし、さらに絵本の読み聞かせの実演、参加者からのQ&Aなど盛りだくさんの内容での開催となりました。

 

■松尾翠さんご紹介

SENSE OF WONDER主宰、フリーアナウンサー(元フジテレビアナウンサー)。

・京都在住。1歳3歳7歳の3児の母。

・2006年フジテレビ入社。「めざましテレビ」「笑っていいとも」などのバラエティ、スポーツ、カルチャー番組などを主に担当。

・2013年にフジテレビを退社し、京都に移住。コロナ前は定期的にこども向けの朗読会を開催。

・3人のお子様を出産後、今年から、本からつながる色んな可能性を形にする「SENSE OF WONDER」をスタート。本を通して体験することをモットーに、選書、イベント、執筆などを行う。

・現在はオンラインショップで、その月選書したおすすめの本、本と共に楽しめる逸品を受注式で取り扱っている。

・ポプラ社のびのび読みアンバサダー、漫画大賞選考委員

 

■センスオブワンダーとは


センスオブワンダー,レイチェル・カールソン
著者:Rachel Carson 出版社:HarperCollins Publishers Inc

化学薬品による環境汚染にいち早く警鐘を鳴らし、いまも多くの人々に読み継がれている『沈黙の春』。その著者レイチェル・カーソンの遺作として、彼女の友人たちによって出版されたのが『SENSE OF WONDER』。本書で描かれているのは、レイチェルが毎年、夏の数か月を過ごしたメーン州の海岸と森を姪の息子である幼いロジャーと探索し、過ごした様子、ロジャーの反応を詩情豊かに綴っていて、園や教育関係者、幼いこどもを育てている保護者に親しまれている一冊です。

この本の中では”センスオブワンダー”を「自然などからある種の不思議さを感じ取る感性」とし主に、自然現象や植物などの自然から感じ取る感性であり、もともと、こどもたちみんなに備わっている感性のこととされています。


今回のイベントではもう少しこの「センスオブワンダー」を広義にとらえ、一定の対象に触れることで受ける、ある種の不思議な感動。または不思議な心理的感覚ととらえ、絵本や映像などのメディアや、空間、体験からも同様の感性を得ることができることから、フリーアナウンサーとして絵本の読み聞かせに取り組んでいる松尾さんとオンラインでの国際交流に取り組んでいる弊社の取り組みをご紹介させていただきました。

 

■ 松尾翠さん流!世界観をひろげる!絵本選びのためのポイント3つ


Point①:押し付けない。こどもの好きなもの・ことをベースに選ぶ

Point②:”好き”を探るため、たくさん選択肢を与えて、観察する

Point③:一緒に体感できるワンアクション(歌う、食べる真似など)があると尚良い


<Point①:押し付けない。こどもの好きなもの・ことをベースに選ぶ>

松尾さんご自身の実体験、三男のおこさまの関心が「たべもの」から「動物」なかでも「象」へと移り変わっていく様子を例に、大人が”こどもはこうだから”ではなく、その子が何に関心があるのかに目を向けて、絵本を選ぶことをひとつめのポイントとして教えていただきました。


<Point②:”好き”を探るため、たくさん選択肢を与えて、観察する>

ご自宅での読み聞かせと異なり、たくさんのこどもを預かる幼稚園・保育園でのこどもたちを集めて一斉に行う読み聞かせでは、いろんな感性のこどもたちがいるので、色んなものに触れる、感じるきっかけとして幅広く絵本を選んであげて欲しいと教えていただきました。


<Point③:一緒に体感できるワンアクション(歌う、食べる真似など)があると尚良い

絵本を読む時間は一日の中でわずかな時間かもしれないけれど、だからこそこどもたちも読む本人も楽しんで欲しい。松尾さんご自身は絵本を読むときはわたしのショーだと思いっきり楽しんでいるとのことです。例えばホットケーキを焼くシーンでは「熱い!」と読むだけでなくリアクションしてみたりするとそれが実際にホットケーキを焼くときにの話題になったり、人生を愉しむきっかけにもなることを教えていただきました。

 

 ■ 松尾翠さん流!年齢別絵本の選び方


絵本選びに正解はなく、推奨年齢もあくまで一つの目安にすぎず、目の前のこどもの成長にあわせて選んで欲しい。その前提を踏まえたうえで、(目安としての)年齢別の選びかたとおすすめの絵本を松尾さんにご紹介いただきました。


<0~2歳>

・音遊びが中心、繰り返しの中でちょっとずつ 変化がある絵本

・アクションが大きい絵本

・知っている・認識しているものやアクションが出てくる絵本(食べ物、動物、お風呂に入る、など)


<3~4歳>

・かんたんなストーリーがあり、話の展開が楽しめる絵本

・好きなもの(園で流行っている、友達とのやりとりに出てくるもの)が登場する絵本

・季節感がある絵本


<5~6歳>

・ストーリー性がある絵本

・絵が細かく、見ていて飽きない絵本

・何度も同じページで、作風を楽しむことができる絵本

 

 ■ 松尾翠さんセレクト!年齢別おすすめの絵本


<0~2歳くらいにおすすめの絵本>


おべんとうばこのふた,さいとうしのぶ,ひさかたチャイルド

『おべんとうばこのうた』

作:さいとうしのぶ

出版社:ひさかたチャイルド


【内容】

手遊びでもおなじみの「おべんとうばこの歌」がかわいい絵本に。


【おすすめポイント】

絵もとても可愛く、テンポもよくてお弁当にどんどん詰まっていく様子にこどもたちは夢中になります。松尾さんご自身も100回以上読んでいる1冊



わらべうたであそびましょ!,さいとうしのぶ,のら書店

『わらべうたであそびましょ!』

作:さいとう しのぶ

出版社:のら書店


【内容】

家の鏡から、様々なキャラクターが現れて!?愉快なキャラクターと共に、おなじみのわらべ歌が楽しめます。


【おすすめポイント】

色んなわらべうたの一番盛り上がる部分がたくさん入っていて、この歌知ってる?と話しかけたりみんなで一緒に歌ったりと、小さなこどもでも楽しむことができる一冊です。



おもちさんがね,とよたかずひこ,童心社

おいもさんがね,とよたかずひこ,童心社

上:『おもつさんがね・・』下:『おいもさんがね・・』

作:とよた かずひこ

出版社:童心社


【内容】

とっても可愛らしいおもち、おいもがリズミカルな音と共に、おいしくご飯になる様子が楽しめる絵本です。他にも同じシリーズがあります。


【おすすめポイント】

とてもかわいくて、読み手も、癒されます。季節にちなんだシリーズもある点もおすすめです。


<3~4歳くらいにおすすめの絵本>

おやおや、おやさい,石津ちひろ,山村浩二,福音館書店

『おやおや、おやさい』

文:石津 ちひろ

絵:山村 浩二

出版社:福音館書店


【内容】

たくさんの野菜たちがマラソン大会に参加!可愛くも、迫力あるイラストと、言葉遊びを楽しめます。


【おすすめポイント】

「かぼちゃのぼっちゃん かわにぼちゃん」など、言葉あそびがたのしい野菜の本で、みんな大好きな絵本です。

(EN-TRY運営部追記:松尾さん、イベントでこの本を紹介いただいた際にはスラスラととてもリズミカルに暗唱されていました。)


きんたろうようちえん、やぎたみこ、あかね書房

『きんたろうようりえん』

作:やぎたみこ

出版社:あかね書房


【内容】

きんたろう先生や動物たちが先生の、とっても素敵な幼稚園のお話。今日は誰がくるのか想像しながら読むと一層楽しめます。


【おすすめポイント】

目を引く表紙に、ゆるやかな絵。でも結構な中身は、自然に子供を委ねて育てるケースとして、ある意味理にかないつつ・・・かつ絵本らしい夢のような内容です。


<5~6歳くらいにおすすめの絵本>


バーバーパパのがっこう,アネット=チゾン,タラス=ティラー,やましたはるお,講談社

『バーバーパパのがっこう』

作:アネット=チゾン / タラス=ティラー

訳:やました はるお

出版社:講談社


【内容】

あばれんぼうのこどもたちのために、バーバパパが学校を設立!こどもたちの“好き”を育てる学校のお話です。


【おすすめのポイント】

キャラクターが有名ですが、絵本も素敵。大人になって自分のこどもの絵本を探している中で出会ったバーバーパパですが、今のSDGsにつながることや「このままじゃ地球大変だよ」という提唱がじつは結構されています。それは押しつけがましくもなくて点や答えのない問いに対して考える、答えを出さずに進んでいける力を育めるシリーズです。

 

 ■ 松尾さん流!絵本の読み聞かせのポイント

「こんな読み方でいいのかな?自分のやり方であっているのか自信がない」「読み聞かせが苦手で、いつも苦痛です」といった悩みを保護者から聞くことがあります。これは、プロでいらっしゃる園の保育士さん・先生方にも共通した悩みも少なからずあるのではないでしょうか。

この質問に対して「大前提として、よい読み聞かせに決まりはありません。絵本の世界を愉しむ、それだけでOK」だと松尾さんは仰います。ただ、それでも大切にしている3つのポイントを教えていただきました。


<ポイント1>

“正しく/うまく”読もうとしないこと

正しく/うまく読もうとすると、読む人の意識が自分の方に向いてしまい、こどもたちから離れてしまいます。テンポよくめくることなんて気にする必要はありません。間違えれば、それを笑いに変えればいいし、目の前のこどもたちがどうすれば楽しむか、絵本の世界、楽しい空気感を一緒に味わえるかを考えながら読んであげるのがポイントの1つ目です。


<ポイント2>

一方通行でなくインタラクティブであること

松尾さんは読み聞かせの時間は、こどもたちを巻き込むショーだと思って取り組んでいるそうです。絵本の世界を味わっているときはその世界観を壊さないように、絵本の世界に入り込んでいない時は、質問をしてみたり、”読み聞かせ”という言葉は一方通行な印象を受けますが、こどもたちの様子を伺いながら、こどもたちを絵本の世界に巻き込んでいくことをポイントの2つ目としてご紹介いただきました。


<ポイント3>

一緒に『空間』を楽しむこと

絵本を読むことは、こどもたちと一つの異なる世界に入りその空間を共有する、こどもたちと同じ世界観を一緒に楽しむこと自分自身も楽しむことを3つ目のポイントとしてご紹介いただきました。

 

■ Q&A

Q1.

大人数に対して読むとき、一番前と後ろのこどもたちに対して、読み方に工夫はありますか?

A.

自分の声が今、どこに届いているのか。喉から声のボールを投げるようなイメージをしてみるとわかりやすいと思います。大会場の場合、真ん中のちょっと後ろのこどもにまで届けるイメージで、声のボールを投げるイメージだと後ろの子まで届くかな、と感じています。


Q2.

こどもたちの反応がどんどん大きくなってきて、絵本への関心を失ってしまいそうなとき、どうしますか?

A.

どんどん反応が大きくなってしまうことは、よくあることです。そのシチュエーションを楽しみながら、声をわざと小さくしてみたり、読むテンポを変えてみるなど色々試しているなかで子どもの反応のよいものを探していくとよいと思います。


Q3.

読む前の準備はどのようなことをしていますか?

A.

わたしたちプロでもいきなり声を出すのは難しいので声の準備運動をします。のどを温めたり、いつもより口を大きく開けることを意識したり、すこし活舌が良くなる練習や表情筋を動かしたりしています。


Q4.

どのように練習すればいいですか?

A.

自分に対して読んであげてください。自分を癒すつもりで、自分の声は自分だけのもの、楽器なので、この世界観好きだな、と感じる絵本を自分のために、どういうテンポ、どういう声で読むと気持ちいいかな、と考えながら自分のために読んでみると自分自身に対するセラピー効果もありますし、誰かにも届けたいなという思いや自信もついてきます。

あとは読んで欲しいと感じているこどもたちに読んであげること、この二つがあればよいと思います。

 

■朗読実演

本イベントでは弊社代表の絵本『ちきゅうフレンズ』の読み聞かせを実施いただきました。弊社の世界観を伝えたくて、弊社代表の前出が週末絵本作家として作成した処女作です。発明家のセブン隊長のもとではたらく助手ペンギンのスカイが世界を旅して、自分との相違点を発見し、その大切さ、面白さを理解するというストーリーを熱演いただきました。イベント参加者でご希望の方にはプレゼントさせていただきました。

ちきゅうフレンズ
『ちきゅうフレンズ』をご希望の方は、弊社問い合わせフォームよりご連絡ください。

 

■参加者の声(参加者アンケートを一部抜粋)

・とてもわかりやすかったです。

・すぐに実践に取り入れてみようと思うことばかりでした。

・朗読は「流石!!」でした。大きく変えた声色ではないのに臨場感が素晴らしかったです。

・実演はまるでお芝居を見ているようで、第一声でお話の世界へ引き込まれました。

・読み聞かせの時、上手に読むことに気を取られるとベクトルが自分自身に向いてしまう、子どもたちとの交流を楽しんで!というメッセージが印象的でした。

・今までとは違った視点で絵本の魅力を知ることができ、とても参考になりました。

・一般的な保育講座とは違い斬新で、そこがまた良かったです。


など、たくさんの声を頂戴いたしました。

よりよいイベントとなるよう、今後とも改善を続け、こどもたちの世界観をひろげるきっかけを学べる場を今後も創出してまいります。

 

■ひろげる世界観 幼児の世界交流(弊社ご案内)


弊社のミッションと『EN-TRY』で国際交流をしている様子のムービーをご覧いただきました。


弊社ミッションは「こどもたちの世界観をひろげる」です。


「世界は広いこと」

「世界には違うところも、同じところもあること」

「世界の人たちは、友達になれる存在であること」


感性豊かな小さなこどもたちに、どうしてもこの3つを伝えたい。

私たちはその為に、小さなこどもたちが、楽しみながら、世界を知り、感じ、

つながることができるサービスをつくっています。

また、私たちは、SDGsの大きな課題「Leave No One Behind 」の解決もめざし

どんな環境のこどもにも、​提供し続けられるサービスを目指しています。


※EN-TRYは、海外の園と日本の園をオンラインでつなぎ、異文化交流を行うプログラムとして

世界OMEPのESDアワード2021を受賞いたしました。


『EN-TRY リーフレット』のダウンロードはこちらから

EN-TRYの世界交流プログラム概要をまとめたリーフレットです

【『EN-TRYリーフレット』】(PDF:11.6MB)

園とトライする世界交流EN-TRY_リーフレット
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EN-TRYについてのお問い合わせ、紹介ムービーを閲覧希望のはこちらのメールアドレスにお問い合わせください。

 

■今後のイベント案内

シンクアロットでは、今後も「こどもたちの世界観をひろげる」きっかけとなる様々なイベントの開催を企画しております。最新の情報は弊社webサイト、メールマガジンにてご案内してまいりますのでブックマーク、メルマガのご登録をよろしくお願いいたします。


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