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【国際交流レポート】「アフリカ=サバンナ?」交流で気づいたステレオタイプと、世界のリアル


 

私たち株式会社シンクアロットが、「こどもたちの世界観を広げる」をミッションに提供する、園向けの世界交流プログラム「EN-TRY(エントリー)」。ただ、一口に「世界交流プログラム」と言っても、園の方針や思い、そしてこどもたち一人ひとりに違いがあるように、交流ひとつとっても、同じものはありません。

実践園レポート第5弾では、学童保育での交流をレポート!「さくらキッズガーデン」学童保育とケニアの「Brookhill School」との交流の様子をお伝えします!今回は千野郁子園長と学童主任の粕谷匡男先生にお話をお伺いしました。

 

 

目次

 


■アフリカ ケニアとの交流が実現!

 世田谷区に位置する「さくらキッズガーデン」は、充実した保育機能に定評がある幼稚園。小学6年生までの学童保育も併設し、卒園後も地域の子育てを支えています。

 今回さくらキッズガーデンでは、学童に通う子どもたちと、ケニア都心部の「Brookhill School」のこどもたちがライブ交流を行いました。EN-TRYではこれまで、数多くの園児たちに世界交流を体験してもらいましたが、小学生は事前学習の理解度や準備への取り組み方も少し違うもの。そこで、まずは取り組み内容や準備の様子を教えていただきました。


粕谷先生:今回は学童での取り組みだったので、活動時間が限られた中での準備となりましたが、まずはEN-TRYから送られてきたビデオなどの事前学習資料でケニアの位置や文化について知ってもらいました。また、それらに追加してこどもたちはケニアの国旗を作ったり、マサイ族についても調べたりしました。ケニアの国旗には、マサイ族の盾と槍を組み合わせた図柄が入っているのですが、国旗にも描かれるマサイ族はケニア人にとって象徴的な存在なのだそうです。そして、それらを学ぶ中で、逆に  「日本人とは何か」についても考えてもらいました。

「和食」や「着物」など数多くの意見があがる中で、「日本人でも、和食を食べない人もいるよね?」「でも、着物よりも洋服を着る日本人も多いよね。」と投げかけると、真剣な表情で考え込む子どもたちが印象的でした。

大人にとっても難しい問いなので、もちろんその場で答えが出るわけではありませんが、自身のアイデンティティを考える良いきっかけになったと思います。



■こどもたちの質問から見える、リアルなケニア

 「ケニア」と聞くと、「遠いアフリカの日本とは何もかもが違う国」と想像する方も多いと思いますが、ライブ交流を終えての率直な感想をお伺いしました。


粕谷先生:まず、私自身もアフリカというと都市よりもサバンナや動物といった印象が強かったのですが、みんな流暢な英語を話し、都会的な生活を送っていることに驚きました。

例えばある女の子はQ &Aで好きな動物について質問したんですが、その答えが「犬」だったんです。やはり、私もどこかで「チーター」のような“アフリカらしい”答えを期待していたのですが、それを聞きテレビで放映されるような編集されたイメージではなく、世界のリアルを感じました。また少し話はずれますが、普段あまりおしゃべりなタイプではない彼女が、英語の質問を練習し用意してきていたのにも感動しましたね。

もう一人、別の男の子は、マサイ族のジャンプの高さについて質問したんです。すると、マサイ族のジャンプを実際に見たことがあるというケニアのこどもから、予想を遥かに超える「1メートル」という答えが返ってきて、彼も驚きのあまり絶句していました(笑)。その子は体操を習っているので、マサイ族の身体能力についても興味があったようです。この答えが刺激になったのか、「これからジャンプを練習したい!」と意気込んでおり、こどもたちの成長のきっかけはどこにあるか分からないと、微笑ましくなりました。



■「自分の目で見る、耳で聞く」ことの大切さ

 ライブ交流を通して、ケニアやアフリカに抱く印象が変わったという粕谷先生に、ライブ交流後のこどもたちの様子についても教えていただきました。


粕谷先生:こどもたちにはいつも、「自分の目で見たこと」や「自分の耳で聞いたこと」を信じるように伝えています。ライブ交流当日の帰りの会で、こどもたちにも感想を聞いたところ、マサイ族のジャンプや好きな動物について「実際に会って話を聞けたから、絶対忘れないと思う!」と力強く語っていました。テレビなどのメディアでは、それぞれの国や地域について象徴的な一面を教えてくれますが、もしかしたらこどもたちにとっては、直接交わす「アフリカのこどもも、一番好きな動物は犬」という身近な会話が、テレビ以上に大きな意味を持つのかもしれません。

また、これまでこどもたちから世界についての話など出たことがなかったのですが、「今度は他の国についても、いろんなことを知りたい!」「中国とか、ニュージーランドとか、タイとか!」と声があがり、非常に驚きました。今後についてはまだ分かりませんが、こどもたちの言うように別の国との交流ももちろん、同じケニアと交流を重ねることで、相手を深く理解することも素敵だなと思っています。



■(まとめ)今回の交流の実現にあたって

 最後に、千野郁子園長に今回EN-TRYを導入したきっかけや、交流先の国にケニアを選んだ理由についてもお伺いしました。


千野園長:EN-TRYは他の園長からの勧めもありましたが、「コロナの影響で海外への移動が制限される中で、こどもたちに少しでも日本の外を感じてほしい」と思い、導入を決めました。またケニアを選んだ理由は、単純に時差の関係です。あまり交流先の国についてのこだわりは無かったのですが、肌の色が異なり一目で人種の違いが分かることも一因ではあります。相手との違いが視覚的に明確になることで、こどもたちに「日本人以外」について意識してもらい、逆に「日本人や日本について」を考えるきっかけにもなると思ったからです。

実際にライブ交流を行うまで、正直ZOOMでの交流にはそこまで期待はしていなかったのですが、実際に始まると五感で感じられるものがありました。画面越しでの交流は、こどもたちの集中力も続かないのではと懸念していましたが、始まる前には期待して眠れない子もいるほど、みんな楽しみにしてくれていたようです。ケニアのこどもたちも、初めは緊張している様子でしたが、笑うととても可愛く、国を超えてもこどもたちは変わらないですね。

また、粕谷先生もおっしゃる通り、私も同じ園と交流を重ねることで、もっと見えてくるものもあるのではないかと感じています。実は、ライブ交流当日は、日本もケニアも全く同じ気温だったんですが、ケニアのこどもたちはニットなどかなり厚着をしていて。そういった、ちょっとした気づきは、テレビやネットでは味わえないライブ交流ならではの魅力だと感じています。そしていつか、実際に会いに行けたら本当に素敵ですね。




 

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