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【保育園・幼稚園のためのSDGs・ESD】保育博WEST@マイドームおおさかで講演!「幼稚園・保育園のためのSDGs 海外・日本の事例から考える実践」


 

 「保育園・幼稚園のためのSDGs・ESD」コーナーでは、昨今保護者や園での関心度がより高まっているSDGs・ESDについて発信しています。

 第二弾として、7月20日の保育博WEST@マイドームおおさかでの講演から、明日葉保育園大倉山園の原田先生にお話しいただきました内容をご紹介します。

 

「幼稚園・保育園のためのSDGs 海外・日本の事例から考える実践」では、海外・国内の幼稚園・保育園様から得た最新事例をもとに、SDGsの具体的な取組やアプローチをお話しました。海外のSDGs取り組み事例に加えて、オンラインでゲストにお迎えした原田先生には、SDGsの実践とポイントをご紹介いただきました。




●スピーカー紹介




 原田 綾乃先生

(株)あしたばマインド 明日葉保育園 大倉山園 幼児リーダー




●保育士12年目。途中休職し、カナダをはじめ、10カ国以上を訪問

●海外での実体験を通じて、SDGsの取組に関心を持つ

●幼児リーダーとして様々なSDGs活動をこどもたちと現場で実践中

 大倉山園では、EN-TRYのプログラムに明日葉保育園独自の要素を混ぜたオリジナルのプログラム「あしたばドア」として実施されています。

 園での取り組みについてはこちらの記事でもご紹介しています。


●SDGsへの取り組みを深める5つの質問

 

Q. こどもたちがSDGsのまなびに熱中するために工夫されていることは何でしょうか?


・遠足のようなイベントごとではなく、「あくまで日常のひとつとしてSDGsを捉える」ようにしています。こどもは日々様々なことに「なんでだろう?」と疑問が生まれたり、興味が湧いたりしているので、その声を拾うように意識しています。

・タイムリーな話題を提供するようにしています。昨年だとオリパラリンピックがありました。ゴールボールをやって、聴覚を研ぎ澄ますためにはどうするか?ついつい声を出して応援してしまいますが、音を出さないことが一番の応援だという事も学べました。最近だと、ロシアとウクライナの戦争についてこどもたちで話し合う姿もありました。馴染みのない事柄に対してイメージがわきにくいと思いましたが、遠い国の出来事ではなく、自分ごととして考える姿がありました。

・SDGsについては、完全なる正解はないというのが、私の考えです。そのため、ディスカッションでは、こどもが自分のSDGsに関する意見をどんどん発言し、他者の意見もしっかり聞く。自分と異なる意見もあることも知り、そこから自分の考えが変わることもある。大人の意見や考えを押し付けることはせず、純粋に今の年齢で考えた意見を伝えられるような環境を大切にしています。



Q. 取組を進めるうえで、難しいこと・課題はありましたか?


・学年問わず、そのこどもたちがどのようなことに興味関心があるか、ディスカッションが得意なクラスなのか、身体を動かしながら学ぶことが得意なのか、日々の保育のなかで見極めることが難しいです。

・こどもの『なんで?』『これってどういう意味?』といったことに対応するためには、保育士にある程度の知識があった方が望ましいです。目標の一つである「技術革新」などの難しい単語をこどもにわかりやすく説明することや、SDGsに関する絵本の中での薬物についての内容もあり、”大人に注射を打たれると、戦争も怖くない”や”接着剤のにおいを嗅ぐと、いい気分になる”などの表現を、どのようにこどもに伝えるべきかは、毎回課題だと感じています。



Q. 保育活動とSDGsの取組は、どのように関連付けたら良いでしょうか?


・世界の問題、SDGs、保育は繋がっていると考えています。例えば、ちきゅうフレンズの中にもあるタイの水質汚染問題、これはSDGsの6番の『安全な水とトイレを世界中に』に関係しています。私の園では、これにより濾過の実験を行いました。では、保育とどのような繋がりがあるでしょうか。保育所保育指針の幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿として、【協同性】と【思考力の芽生え】があります。この濾過の実験で、友だちと協力して濾過装置を作ることは、【協同性】を育むこと。「この水はどうすれば綺麗になるかな」と思って装置の中に綿や砂の量を調整してみてり、いろいろ考えながら試行錯誤することは【思考力】を育むことになります。

・また、なぜ水質汚染が起きたのか、これを解決する方法はあるのかなど、もっと深いところまで話し合いが出来るようになれば、これは【言葉による伝え合い】および【豊かな感性と表現】にも当てはまってきます。つまり、発達記録や保育要録にもつながっている。ですので、保育や地球の問題をつなげることは難しいことはないと思っています。

・何よりも、SDGsをこどもたちの成長を促すきっかけやツールの一つだと考えることが重要です。SDGsをきっかけに、各国の課題や問題についてこどもたちと一緒に考えることは、保育所保育指針にある「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」が育ちます。

・「今日はSDGsのことをやりますよ」と活動してもこどもに伝えづらいこともありますが、EN-TRY「ちきゅうフレンズ」のプログラムを利用すれば、体を動かしながら楽しく国際交流ができ、そこから交流をもって馴染みのある国の問題やSDGsを知り、それらに関連した活動をすることにより、10の姿に関連したこどもの成長を感じ取れるのです。



Q. SDGsについて取り組むことで、こどもたちの関心や考え方に変化はありましたか?周囲(保護者や先生方)にも影響を感じますか?


・日々の生活の何気ないやり取りの中でも「これってSDGs〇番じゃない?」などと言った声を聞くことが増えました。また、「ちきゅうフレンズ」では、最初は保育士主導で導入などを行っていましたが、経験を重ねるごとに、その国のことで自分が気になること(例えば、有名な食べ物や、伝統的な遊びなど)を、本やタブレットで調べまとめて、自分が調べたことを他児に発表することもありました。

・こどもたちはSDGsについて、家でも保護者の方に話しているみたいです。保護者自身も「SDGsについて何も知らなかったけど、これだけこどもが知っているなら」と、こどもと一緒に勉強を始められた方もいます。



Q. 今後SDGsの取組でやっていきたいこと、目指していることはありますか?


・こどもが世界を知ることで、“日本では当たり前”といった常識が、別の国では非常識だったりします。それを知ることで思考力がどんどん広がって、何にも縛られることのない自由な感性で生きていけるこどもに育ってくれることを目指しています。もちろん、これは今日明日達成できることではなく、10年後、20年後、SDGsを通し様々な経験を積んだこどもが、日本だけでなく世界のどこかで可能性の花を開いてくれたその時が、目標達成の時だと思っています。

・個人的には、SDGsをどのように保育の中に取り入れるか悩んでいる、様々な保育園、幼稚園、こども園などに赴き、アドバイザーのようなことをやってみたいですね。そのためには、もっともっと学びを深めていきたいと思っています。




●弊社オリジナル SDGsプログラム「ちきゅうフレンズ」

 幼稚園・保育園のSDGsへの取り組みを支援する活動の一環として、弊社の開発した「ちきゅうふれんず」を提供しております。様々な国の人々と、遊びながら友達となり、文化を知り、サステナビリティについて考える、絵本連動型の全8回の動画プログラムです。



 

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