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【海外の教育現場レポート】「子どもの個性を伸ばすニュージーランド流幼児教育」

EN-TRY運営

 

9月15日(木)に、幼稚園、保育園の先生向けの研修を運営するコドモンカレッジで、「世界の保育 特別編」としてEN-TRYが研修を提供しました。植竹笑子先生をお招きし、ニュージーランドからライブ中継でお話しいただきました内容の一部をご紹介いたします。事前に募集した参加者のみなさまからのご質問にもお答えしています!

 

■目次

 


■イベント概要


  子ども一人ひとりの個性を大切にし、伸ばすことを重要視するニュージーランドの幼児教育指針『テ・ファリキ』。ラーニングストーリーやテーブルセットなど、特徴あるツールなどが日本の幼児教育界でも注目されています。

 本研修は、このテ・ファリキ幼児教育を通じて、先生方が子どもとどのように向き合っているのか、どのような努力や苦労があるのかを現地ニュージーランドからリアルタイムでご紹介するとともに、中々見ることのできない、ニュージーランドの現地園内部をご覧いただきました。


■研修内容


1.こどもたちの個性を伸ばすテ・ファリキ幼児教育とは 

2.テ・ファリキの現場におけるリアルな実践

3.日本の保育・教育で活用できるヒント

4.ニュージーランドの現地園オンライン見学


■スピーカー紹介

 Fernside Preschool 教諭 植竹 笑子

1998年にニュージーランドへ移住。 2009年にカンタベリー大学でBachelor of Teaching and Learning Early Childhood (学士)を取得、2012年にカンタベリー大学でPostgraduate Diploma in Education( 準 修 士) を取得 。 Bishopdale Community Preschool Christchurch で8年勤め、現在はFernside Preschoolに勤めて4年、また、カンタベリー補習授業校附属幼稚園の園長として、日本語教育にも携わる。


 過去にご登壇いただいたEN-TRYセミナー

今回ご登壇していただく植竹先生には、EN-TRYオンラインセミナーでもお話しいただいています。

過去のセミナーについてレポートを掲載中です。

【海外の教育現場レポート】ニュージーランドのテ・ファリキ幼児教育 ~第一弾~

【海外の教育現場レポート】ニュージーランドのテ・ファリキ幼児教育 ~第二弾~


■Fernside Pre Schoolについて




 今回、オンライン見学させていただいたFernside Pre Schoolについてご紹介いたします。


対象年齢:3か月~6歳

園児数:103名(特定曜日のみくる子もおり、園のライセンス数は62名)

教員数:9名(+事務員1名)

敷地面積:約12,300坪(東京ドームよりやや小さい程度)


 オンライン見学では、タッチパネルで入室管理をするエントランスからこどもたちのお部屋、園内のファームにいる羊、豚やモルモット、ウサギ、鶏、池のアヒルたちや広大な土地にある遊具などを見せていただきました。

 動物たちは園の先生が面倒を見ていいて、こどもたちも動物にエサをやるのを楽しんでいるそうです。園で飼っているうさぎではなく野兎が跳ねていく様子も映り、雄大な自然を感じることができました。

また、保護者の方が気さくに園の教室までお迎えにいらっしゃる様子からは、かなり親密にコミュニケーションをとっている様子が伺えました。




■日本の保育・教育で活用できるヒント


今回のコラムでは、研修内容3.日本の保育・教育で活用できるヒント から、ご参加者様のご質問への回答をまとめてご紹介いたします。


Q.1

テ・ファリキには準拠しない日本の保育園幼稚園で取り入れやすい点はありますか?

何から取り入れたらよいと思いますか?

A.

まずは1対1でこどもをみて、年次によるゴールではなく個人の特異なことを伸ばすという視点で考えることが必要だと思います。ニュージーランドはエキスパート(専門職)を育てたいという意識、日本は全て平均的にまんべんなくできるような教育をするという意識があるのではないかと考えており、そこに優劣はないものの、やはり個人一人一人の目標を決めて個性を伸ばしていくことは良いことだと思います。先生方は恐らく毎日見ているので気づいていらっしゃるはずなので、先生方間でコミュニケーションをとって個人のゴール設定をできるのは良いことではないでしょうか。


Q.2

テ・ファリキ教育を実施するに当たらい、現場で苦労するところ、課題が起きやすいところはありますか?

A.

先生とこどもの比率について、2歳までは一人につき5人、5歳までは10人となっています。こどもたちはフリープレイとして様々なことをしているので、一度に様々なことが起きるという大変さはあります。


Q.3

こどもたちの個性を伸ばす、という観点で、保護者の肩とのコミュニケーションで大切にされていることはありますか?

A.

保護者の方がファミリーアンドコミュニティのプリンシパル(NZ幼児教育カリキュラムテ・ファリキ)ではパートナーでもあります。先生と保護者が同じ立場なので、一緒にこどもを育てるという意識があり、保護者も時間があればお迎えの際にみんなで遊んだりすることも珍しくありません。保護者のプライベートなことを話したりもするので信頼関係は深く、こどもについてもオープンに話す環境があります。

また、連絡帳のように、ちょっとしたメモでコミュニケーションを取ったり、エデュカ(Educa)というオンラインツールを使ったりしています。オンラインでラーニングシステムなどをアップロードし共有することも重要な役割を担っていると考えています。



■日本の保育・教育で活用できるヒント[コラム特別編]


コラム特別編として、セミナー内でご回答いただけなかった二つの質問にもご回答いただいています!


Q.4

テ・ファリキ教育はどういった人材を目指したものなのでしょうか?日本の教育との差分もあれば教えてください

A.

まず方針として、NZでは日本のようなゼネラリストではなく、得意領域のある専門家(エキスパート)を増やしたいという考え方が根底にあります。その上で、知識そのものの習得ではなく、"Learn how to learn(どう学ぶか)"の習得に重点を置き、生涯どのように学び、困難にぶつかったときに学習して乗り越えられる人、 それがテファリキが目指す人材像であると考えています。

なお、Te Whariki の目指すビジョンは正確には

「Children are competent and confident learners and communicators, healthy in mind, body and sprit, secure in their sense of belonging and in the knowledge that they make a valued and contribution to society.」

です。素晴らしいビジョンだと思っています。


Q.5

テ・ファリキは幼児教育のみが対象でしょうか?小学校や中等/高等教育にも関連していますか?

A.

幼児教育の教育方針ではありますが、現在では小学校のカリキュラムの中にも、テファリキのコンピテンシーが盛り込まれています。テファリキの5つの要素と4つの原理は小学校のカリキュラムの中ではKey competencyとして盛り込まれています。

高校の教育においてはAssessment for Learning の要素が既に取り込まれているかは分かりませんが、私が大学院でAssessment for Learning のコースを取っていた時(2012年)に沢山の高校の現役校長が同じコースを取っていて高校にも取り入れたいと勉強してました。テ・ファリキに基づく考え方の影響範囲は教育全体に広がっているのは事実かと思います。




 

EN-TRYでは、今後も幼稚園・保育園関係者のみなさまの日々のヒントになるような情報を発信してまいります。よろしければInstagramをフォローしてくださいね!



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