2月といえば日本では節分。節分は各季節のはじまりの日の前日のこと。日本では一年のはじまりとして2月の節分は特に大切にされています。今月は春の様子やまだ肌寒いこの季節に心温まる物語が描かれた海外の絵本を紹介いたします。
絵本体験を通じてこどもたちの世界観が広がり、感性が豊かになるとEN-TRYでは考えていることから、毎月第1週木曜日にその月にあった年齢別に海外の絵本を中心にご紹介いたします。
■目次
■年齢別おすすめの絵本の選びかた
絵本を楽しめるようになる生後10か月から1歳の子どもたちには言葉を聞く楽しさとイメージが膨らむ絵本がおススメです。
0歳児は、単純な輪郭とはっきりした色づかい、リズムのある言葉が大好きで、こどもにとって身近なことがらを書いているものがおすすめです。
1歳児は、自分の五感で体験したことが興味の中心なので「見る」「聞く」「嗅ぐ」といった体験を手掛かりに絵本を選ぶのがおススメです。
日常の生活体験が広がり他者への関心も強くなる頃、子どもの日常生活に寄り添った絵本がおススメです。
2歳児になるとこどもたちは、知っているものに反応するだけではなく、その体験をもとにお話を膨らませて楽しめるようになります。登場人物の姿と自分の体験を組み合わせて、一緒にドキドキ、ハラハラ。単純なお話であればストーリーを追って理解できるようになるので、こどもたちの興味をもとに絵本選びのジャンルの幅を少しずつ広げていくのがおススメです。
3歳ごろからのおすすめは繰り返しやその中に仕組まれたユーモア、子どもたちが満足する結末が用意された昔話。言葉の響きやリズム・韻などの面白さが味わえる詩やわらべうたは物語りとは違った絵本の楽しみ方を体験できます。
興味や関心は未知の世界へも広がります。発達や経験によって語彙力に差が出やすい時期ですが、あまりためらわずに色んなジャンルの絵本を選んであげるのがおススメです。
子どもたちの好みもはっきりしてくる頃、物語り絵本を中心に長く愛された絵本がおすすめです。
時代は変わっても子どもの心の成長に必要なものは変わらない一過性の流行ではない作品を選んであげることが大切です。
また、他者の気持ちを想像して共感でき、複雑な感情も芽生え、想像力も豊かな4歳児には、知らない世界、言葉遊び、こどもたちの興味・関心に応えるよう幅広いセレクトが絵本選びのポイントです。
“本来は目に見えない言葉の世界を、自分で思い描き、目に見える世界にする”想像力こそが読書力です。挿絵を手掛かりに想像力を膨らませる絵童話を絵本体験を積んできた5歳児にはおすすめです。
また、こどもの数だけ興味・関心の種類があります。フィクションからノンフィクションまで好奇心を満たすあらゆる絵本と触れる機会をつくってあげましょう。「命」「平和」「平等」「他国の文化」などについての本もこの時期から。こども自身、言葉でうまく言い表せないものの、その意味をしっかりと受け止める力を供えています。
6歳ごろになると、長い物語を毎日少しずつ読んでもらうことを楽しめるようになります。本格的な読書への入り口として長い童話や絵本がおすすめです。
※各年齢でのおすすめの絵本については福音館書店『絵本の選びかた』『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(著:児玉ひろみ 出版社:小学館)を主な参照元とし、EN-TRY編集部にて編集させていただいております。
参照リンク先:福音館書店『絵本の選びかた』
■年齢別、2月におすすめの絵本(EN-TRY編集部選)
年齢別おすすめの絵本の選び方をもとに、EN-TRY編集部独自の視点を加えたこの季節におすすめの絵本を紹介いたします。
■0歳・1歳児におすすめの2月の絵本
タイトル:『おやすみなさいおつきさま』
作:マーガレット・ワイズ・ブラウン
絵:クレメント・ハード
訳:せた ていじ
出版社:評論社
【内容】
全編を通じて軽やかに韻を踏み、しずかでやさしい文章にクレメント・ハードの絵。うさぎのおやこのい居心地の良い部屋。親ウサギはこどもをいつくしみ、こどもはその愛情の中に圧倒的に守られている安心感に包まれます。小さなおこさまに読み聞かせしながら、きっとご自身もこの絵本の中にあるあたたかい安心感を味わい尽くせる、そんな作品です。
このマーガレット・ワイズ・ブラウンとクレメント・ハードのコンビでは『ぼくにげちゃうよ』『ぼくのせかいをひとまわり』も有名です。『ぼくにげちゃうよ』はお母さんのもとから飛び出したいこどもの好奇心と、どんなところへ冒険に出ても受け止める母の愛情。『ぼくのせかいをひとまわり』では、本作と同じうさぎくんの身近な世界、ブランコに乗ってぐるっと世界をひとまわりできるような世界とそこに向けた眼差しが描かれています。
■2歳児におすすめの2月の絵本
タイトル:『うさぎのおうち』
文:マーガレット・ワイズ・ブラウン
絵:ガース・ウイリアムズ
訳:松井るり子
出版社:ほるぷ出版
【内容】
「はる はる はる」とこまどりが歌う春の明るい日差しの中、こうさぎが自分の家を探しに出かけます。でも、なかなかぴったりの家が見つかりません。春の訪れを喜ぶ動物たちや草木の芽吹きの中でこうさぎは家を見つけることができるのでしょうか?
作者は上で紹介した『ぼくにげちゃうよ』と同じマーガレット・ワイズ・ブラウン。絵は繊細であたたかいタッチが人気のガース・ウィリアムズ。ガース・ウィリアムズは他の有名な作品に『大草原の小さな家』シリーズなどもあり、こちらもおすすめです。
■3歳児におすすめの2月の絵本
タイトル:『3びきのくま』
文:トルストイ
絵:バスネツォフ
訳:おがさわら とよき
出版社:福音館書店
【内容】
ひとりのおんなのこが森の中で迷ってしまいます。辿り着いたのは小さな家は、なんとくまの家。そんなことに気がつかない女の子はくまの家の中で子ぐまの椅子を壊してしまい、食堂のスープを飲み、ベットで眠りにつきます。何も知らないで帰ってきたくまの家族、さて女の子はどうなってしまうのでしょう?こどもを夢中にさせる物語と独特なこってりとした色使いが魅力的です。
トルストイがこの絵本の作者になっていますが、『ガイドブック世界の民話』によると、もとはイギリスに古くから伝わる昔話で、口伝えの話としてはイギリス以外ではみつかっていないとされています。また、トルストイが再話したことは有名で、日本でも絵本として先に流布した、と記されています。
■4歳児におすすめの2月の絵本
タイトル:『ながいながいよる』
文:マリオン・デーン・バウアー
絵:テッド・ルウィン
訳:千葉 茂樹
出版社:岩波書店
【内容】
まだ、ふかく積もった雪の残る森の中。月明かりと雪の輝きだけの静かな森の中で過ごしているたくさんの動物たち。ながいながいよる。寒さの中で太陽はどこに行ってしまったのかといらだちながら探す獣たち。獰猛な動物たちから、太陽を見つけることを期待されていない一羽の小鳥が歌いだすと・・・・獰猛な獣たちの持つ生命力の美しさ、寒さの中にある春の兆し。自然に対する畏敬の念に満ちた作品です。
この作品は児童書の作家・画家による選考に基づき、優れた児童文学に贈られる賞として1973年に創設されたゴールデンカイト賞を受賞しています。
■5歳児におすすめの2月の絵本
タイトル:『キャッツ―ボス猫・グロウルタイガー絶体絶命』
文:T.S.エリオット
絵:エロール・ル・カイン
訳:たむら りゅういち
出版社:ほるぷ出版
【内容】
ミュージカルの金字塔”キャッツ”の絵本版。この作品ではノーベル賞作家T.Sエリオットの『おとぼけおじさん猫行状記』より「ボス猫・グロウルタイガー絶体絶命」「ピークとポリクルの大げんか」「ジェリクルの歌」の3篇を、イギリスの人気イラストレーター、エロール・ル・カインの絵で絵本化しています。翻訳はT.S.エリオットの詩集も翻訳している詩人の田村隆一です。
このメンバーでの同じくキャッツを題材にした絵本『魔術師キャッツー大魔術師ミスとフェアリーズ マンゴとランプルの悪ガキコンビ』もあります。これらの絵本をきっかけにミュージカルを観に行ってみるのもこどもたちにとって幸せな体験になるかと思います。
■6歳児におすすめの2月の絵本
タイトル:『せかいいちおいしいスープ』
文・絵:マーシャ・ブラウン
訳:こみや ゆう
出版社:岩波書店
【内容】
はらぺこの三人の兵隊が、ある村で食べものをわけてほしいとたのみますが、村人たちはどの家にも食料はないと首を横にふるばかり。兵隊たちは、しかたがないので、石のスープをつくることにしましたた。せかいでいちばんおいしい、この石のスープが気になって仕方がない村の人たち。フランスの民話をもとにしたユーモラスな展開。まだ肌寒いこの季節、この絵本を読むと温かいスープが飲みたくなること間違いありません。
作者のマーシャ・ブラウンは『シンデレラーちいさいガラスのくつのはなし』(福音館書店)、『むかしねずみが』(童話館出版)、『影ぼっこ』(ほるぷ出版)で3度のコールでコット賞を受賞。自作のほかに各国の伝承に挿絵を付けた再話も多く、日本語翻訳も多いので是非手に取っていただきたい作家のひとりです。
■EN-TRY海外提携園おすすめの絵本
今月はケニアのBrookhill AcademyのDavid先生推薦の出版社よりおすすめの絵本を2冊ご紹介いたします。
タイトル:『How to Grow a Unicorn』
作:レイチェル・モリスロー
絵:スティーブン・レントン
出版社:Ladybird publisher
【内容】
3~5歳向けのベストセラー。タイトルを翻訳すると、「ユニコーンを育てる方法」 うっとりするような韻を踏んだ、声に出して読むのが楽しい絵本。大人気のイラストレーター、スティーブン・レントンによるユニコーン・ファンタジーです。絵がとても美しく、愛らしいキャラクターと面白いストーリーで、最初から最後まで夢中になってしまいます。
Ladybird publisherはユニコーンやドラゴンなどが登場する絵本をたくさん出版しており、こどもたちはファンタジーの創造的な世界が大好きです。
タイトル:『WEIRDO』
作:ゼイディー・スミス、ニック・レアード
絵:マゼンタフォックス
出版社:Ladybird publisher
【内容】
3~5歳向けのベストセラー。二人の作家が共作しており゛人と違うこと“についての強さを描く可愛らしい物語。柔道着を着ている、不思議なモルモットのモード。誰もが理解を示してくれるわけではありません。しかし彼女は勇気をもって、新しい場所に飛び込み、自分の居場所を探します。
魅力的なキャラクターと温かみのある文章で、個性を大切にすること、こどもたちがみんなと友達になれることを教えてくれるお話です。
■週末絵本作家、EN-TRY代表前出貴則おすすめの2月の絵本
週末は絵本作家としても活動し、『ちきゅうフレンズ~ちがうけど おなじ~』を発行している弊社代表の前出のおすすめする絵本を紹介いたします。
タイトル:『SNOWMEN AT NIGHT』
さく:キャラリン・ビーナー
え:マーク・ブエナ―
出版社:Dial Books for Young Readers
【内容】
ある日、少年が雪だるまをつくりました。次の日、その雪だるまを見てみると、帽子は滑り、手は落ち、形が大きく変わってしまっています。少年は考えます。夜の間、雪だるまは何をしていたのか。そう、雪だるまは静かな夜になんと、、、。
【前出おすすめのポイント】
絵本のすばらしさは、絵の力で空想世界を表現できること。私の手元にあるこの絵本は英語で書かれていますが、最初の出だしさえ理解できれば、あとは言葉なんていらないくらい、惹きつけられる絵が待っています。この絵本は、物語が楽しいだけでなく、絵が楽しい。絵だけで十分。むしろ言葉なんてなくてよい絵本だと思います。
英語が苦手な先生も、このファンタジーの楽しさを"読み聞かせる"のではなく、絵で子どもたちと分かち合っていただきたいです。
■2/18(金)「明日からできる、幼稚園・保育園向けSDGs無料オンラインセミナー」開催のご案内
2022年2月18日(金)に、弊社シンクアロットの特別企画「明日からできる、幼稚園・保育園向けSDGsセミナー」を開催します。園関係者の方、先生、保育士の個人でのご参加もお待ちしております!
近年よく耳にするSDGs。未来を生きるこどもたちに大きく関わるものですが、実はよく分からない、こどもにはどうやって伝えれば? どんな活動をすればいいの? と悩まれている園も多い、難しいテーマでもあります。
本セミナーでは、日本および海外の幼稚園・保育園で、どのようなアクションを取られているのか事例も含めて、今後、園でのSDGsに関する活動のヒントになるようなお話をできればと考えています。
オンラインでの実施ですのでどこからでもご参加いただけます。下記リンクからお申込みいただいた方に、セミナー用URLをお送りします。こどもにも分かりやすく、楽しんで取り組む方法を、ぜひ一緒に考えましょう。
(※原則、幼稚園保育園こども園などの幼児向け施設の関係者様限定です)
[イベント日時・内容]
日時:2月18日(金)13:00~13:50 16:00~16:50 ※両時間帯とも同じ内容です。
内容:SDGsとは? 幼稚園・保育園にとってのSDGsの意味・取り組み事例 など
[イベントご登録はこちら]
■EN-TRYについて
「世界は、広いこと」
「世界は、身近であること」
「世界の人たちは、友達になれる存在であること」
保育園・幼稚園の小さなこどもたちに、この3つを伝えたい。
そして、世界観を拡げてあげたい。
それが私たちがサービスをはじめた原点です。
今、世界では「SDGs」という、一つの国だけでは解決のできない
とても難しく、重要な共通目標を掲げています。
こどもたちが、世界を身近に感じ、みんなで協力できることに
気付いてくれたら、それはきっと、その解決につながる第一歩のはず。
EN(保育園・幼稚園)のみなさんと、そのためのTRY(トライ)をしていきたい。
そんな思いを込めて、私たちのサービスEN-TRY(エントリー)を開発しました。
※EN-TRYは、海外の園と日本の園をオンラインでつなぎ、異文化交流を行うプログラムとして
世界OMEPのESDアワード2021を受賞いたしました。
■『EN-TRY リーフレット』のダウンロードはこちらから
EN-TRYの世界交流プログラム概要をまとめたリーフレットです
【『EN-TRYリーフレット』】(PDF:11.6MB)
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