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【イベントレポート】保育・幼児教育×デジタル活用によるこどもたちの発達への影響


 

近年、保育園や幼稚園でも活用の進むデジタルメディア。これら映像やオンラインを保育や教育に活用することで、こどもたちにどんな影響があるのか?そんな疑問をお持ちの保育園・幼稚園の関係者様は非常に多いかと思います。今回は、国際基督教大学で発達心理学を研究されている直井先生をゲストにお呼びし、映像・オンライン活用による発達への影響を解説いたします。

 


 

目次

 

■セミナー講師

直井 望 上級准教授

2016年より、国際基督教大学 心理学・言語学デパートメント

発達心理学と神経科学を専門とし、言語やコミュニケーションの発達と神経活動との関連を研究



■こどもたちの生きるデジタル環境


デジタルと一口にいっても、様々なものがあります。今回のセミナーでは、テレビやスマホ、タブレットなどの「スクリーンメディア」とよばれるデバイスに対象を絞り、説明を行いました。


現代のこどもたちは、スクリーンメディアを"ほとんど毎日利用する割合"が、0歳児でもテレビで67%、スマホで20%と、生まれたときからICT環境に育つ、文字通りデジタルネイティブです(日本国内データ)。


未就学児におけるスクリーンメディアの1日あたりの視聴時間はおおよそ2時間であり、これは米国・日本ともに同様の状況となっています。他方、日本、韓国、フィンランドの国際比較では、日本ではスクリーンメディアの用途として「娯楽」として使われている比率が高く、また、親子での活動の従事時間が短いことから、親子それぞれが娯楽のためにメディアを活用している傾向が高いということがいえます。





■スクリーンタイムに関するガイドライン


これらの状況の中、国内のガイドラインを見ていきましょう。日本小児科医会:では2004年に「2歳までのこどものテレビ・ビデオ視聴を控える」よう提言し、当時大きな話題となりました。これは、アメリカ小児学会の1999年の提言を受けたものです



日本のガイドラインはこれ以降変更がありませんが、米国では2016年にスクリーンタイムのガイドラインは改定されており18か月以下では(FacechatやZOOMなどの)ビデオ通話以外は避ける、2-5歳においては質の高いプログラムを1時間以内としています。一方WHOでは、1歳以下では座位でのスクリーンタイムを推奨しない、など、身体活動に重きを置いたメディアとの付き合い方を提言しています。





また、実態として前述の通り平均2時間程度のスクリーンメディア視聴を行っていることから、これらのガイドラインは殆ど守られていないということになり、実態との乖離が大きくなっているといえます。


■スクリーンタイムが発達に及ぼす影響・こどもたちは何を学ぶか

 

これらのスクリーンタイムの発達の影響を考える際には、①どのような要因(開始時期、頻度、時間)が、②どのようなこどもに、③どのような影響を与えるか、また、ほかの要因がどのように直接・間接的に影響するかといった、双方向で考える必要があります。




セミナーから一部の論文を紹介しますと、これまで世間一般で言われている認識とは、やや異なることがわかります。


例① 視力への影響

スクリーンメディアの近視への影響などが言われていますが、遺伝的な近視リスクがない場合、実際は、スクリーンメディアとの接触が1歳以降である場合,視聴時間は近視のリスクと関連しないといわれています。


例② 言語発達への影響

生後18ヶ月児: 1日4時間以上のテレビ視聴児とそれ以外との比較、テレビが8時間以上ついているテレビ視聴児とそれ以外との比較、で見ていくと、1歳までのスクリーンタイム は言語発達にネガティブに影響する可能性があります。


では次に、スクリーンメディアからこどもたちが何を学ぶのか、抜粋してご紹介します。

就学前のこどもたちは動画よりも実際の人から多くを学び、また、動画 よりもライブ,ビデオチャットの方が、より模倣するという論文があります


また、18か月のこどもに見立て遊びの模倣を、①実際の人が教える、②(実際の人が教える内容を)同じくらいに見えるサイズのモニタで教える場合での学習効果をはかる実験を行うと、①の方が学習効果は高いものの、モニタ(動画)からもこどもたちはまなぶことがわかります



また、就学前のこどもたちは、同じ動画を見る行為でも、ほかのこどもたちと一緒に視聴を行うとより多くの学習効果を得られることもわかっています。この点、園での視聴は、家庭で一人で見るものよりも、効果的であるということができそうです

まとめ

現代のこどもたちはデジタルネイティブであり、今後の社会生活を含めて、そこから逃げることはできません。一方で、園様の立場をすれば、すでに家庭で頻繁かつ長時間スクリーンメディアを視聴する傾向はあり、それらの時間への考慮、ほかの活動とのバランスを踏まえて、園での視聴時間は設計する必要があると考えます。

またその際には、大人数での視聴やオンラインでの人とのコミュニケーションなどを取り入れることで、一方通行な動画視聴よりも、より高い学習効果があるでしょう。



 

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 このプログラムの特徴は、楽しく体を動かす動画教材や、食事やお絵描きなど日常保育などと融合したアクティビティを通して様々な観点で海外に触れること。また、大人の外国人の先生と話すのではなく、同年代のこどもと交流をすること。どちらも世界をより近くに、そしてリアルに感じられるポイントだと考えています。



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