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【イベントレポート】幼稚園・保育園のためのSDGsセミナー


 

2月18日(金)に、シンクアロット主催のオンライン無料セミナー『幼稚園・保育園のためのSDGsセミナー』を開催いたしました。100を超える園関係者のかたにご登録いただきましたイベントの様子をご報告いたします。

 

■目次

Q&A

 

■イベント概要

本セミナーは、SDGsをどのように園で扱うか、という疑問について考えるべく、

●園の視点も踏まえて、SDGsの概要をお伝えする

●海外園・日本園での事例をもとに、活動のヒントにしていただく

という二点を趣旨として実施いたしました。


弊社はビジョンとして「様々な選択肢に触れることで、世界観を広げる」ことを掲げており、SDGsが包含する多様なゴールや考え方は、園と一緒にことどもたちにつたえるべきコンセプトとして共感しています。

そこで弊社は園におけるSDGs活動のサポーター・伴奏者の立場から、交流のある園さまなどから実情をお伺いし、情報共有させていただきました。園での活動の参考になったというお声をたくさんいただいており、続編の実施も検討しております!



●SDGsへの関心の高まりについて

日本全国の10代~70代を対象に行ったアンケートでは、「SDGsのことを知っていますか?」という質問に対して、内容に関する知識の有無にかかわらず、「知っている」と回答した方は54%でした。2019年の16%、2020年の29%と比較すると近年の急速な認知の広まりがわかります

※出所:TEAM SDGs 「SDGsに関する生活者調査」

また、日本全国の小・中・高校生の保護者を対象としたアンケートによると、「こどもにSDGsに関心を持ってほしいと思いますか?」という質問に対して、「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答した方は95%以上でした。幼稚園・保育園の保護者を対象とすると割合は下がる可能性がありますが、多くの保護者がこどものSDGsに対しても関心を持っていることがわかります。こどもの将来に大きく関わるテーマである以上、保護者にとっても意義が大きいものであると言えます。

さらに、こどもにSDGsに関心を持ってほしい理由として大きかったのは、「自分の将来について考えるきっかけになってほしいから」「様々な価値観やバックグラウンドを受け入れられる人になってほしいから」「世界規模の課題について理解をしてほしいから」といった項目であり、SDGsへの理解や取り組みを通しての成長を期待していることがわかります。

※出所:Z会グループ 「小中高生の家庭の SDGs に関する意識調査」

●SDGsの概要

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された、 「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする17の国際目標のことです。その普遍性や包摂性、参画型であるといった性質から、無関係でいられる人は基本的にいません。

各ゴールにつきターゲットや指標が具体的に設定されており、数値目標や目指すべき状態が明文化されています。すべての項目を合わせると、17のゴール、169のターゲット、232の指標で構成されています。


ちなみにESDとは、Education for Sustainable Development 「持続可能な開発のための教育」で、ユネスコを主導機関とした取り組みであり、平易にいえば、SDGsを達成する人材づくりの為の教育です。

弊社の幼稚園・保育園の国際交流プログラムでは、OMEPが主催するグローバルなESDアワードを受賞しております。

弊社代表が登壇しておりますアワードの様子はこちら




























●SDGs×幼児保育・教育

それでは、幼稚園・保育園などの幼児施設はどのような役割が期待されているのでしょうか。

まずは社会の一員として、幼児施設の存在自体が一法人格としてのゴール達成への貢献であるといえます。何か特別な取り組みをしなくても、幼児施設としての役割自体がSDGs達成に向けた取り組みとなっているということです。次に、それに加えてこどもたちに対してSDGsに対する学びを提供すること(≒ESD)であると考えています。

では、SDGsを教える(≒ESD)とはどういうことをさすのでしょうか。

弊社の解釈では三つの内容があると考えています。


① 普段の保育・教育を通じて/その延長上で伝えられること

② 普段の保育・教育だけでは触れる・考えるきっかけがないもの

③ 普段の保育・教育活動との融合・浸透


一つ目については給食で残さず食べることを伝えたり、ごみの分別を教えたりするなど、多くの園で日常で実践されているのではないかと思います。二つ目についてはこの後の事例でご紹介いたしますが、文化や宗教の多様性を学ぶなど、特に意識して活動しなければなかなかきっかけがないテーマへの取り組みなどです。三つ目については一つ目と二つ目の融合であり、普段の生活で意識できるように浸透させていくことを指します。



●取り組み事例

各園さまの取り組みについて、ウェディングケーキモデルの枠組みで一部をご紹介いたします。

ウェディングケーキモデルとは、ストックホルムにあるレジリエンス研究所の所長が考案した、“SDGsの概念”を表す構造モデルです。SDGsの全17目標はそれぞれ大きく3つの階層から成り、それらが密接に関わっているということを、ウェディングケーキの形になぞらえて表されています。


下から順番に

① 環境:自然・環境に対するまなび

② 社会:人・多様性の尊重に対するまなび

③ 経済:お金・仕組み・労働に対するまなび

であり、今回のレポートでは、セミナーでご紹介した事例のうち、それぞれの項目から一つずつの事例をご紹介いたします。



① 環境:自然・環境に対するまなび

ニュージーランドのAoraki Explorersの事例です。

【狙い】

•日々の保育・教育の中で、自然とリサイクルをする・ごみを減らす考え方を身に付ける

【取組み】

•色分けしたゴミ箱にきちんと捨てる(リサイクルに出す)習慣づけをする

•食事の際には、リサイクルの重要性を毎日のように伝えている

(補足)NZ はランチボックス給食が基本でスナックバーのプラスチック等、ゴミが出やすい

【取組みのポイント】

•一度では中々わからないので、毎日、繰り返し繰り返し話すこと

•その中で、ただやらせるのではなく なぜリサイクルが大切なのかを伝えている

※ニュージーランドでは、Aoraki Explorers以外の園さまでもこのような取り組みをされているところは非常に多いです。






























② 社会:人・多様性の尊重に対するまなび

シンガポールのLittle Gems Preschool、MindChamps などの事例です。

【狙い】

•さまざまな宗教に関心を持ち、理解する心を育む

【取組み】

•ディーパバリ(ヒンドゥー教)、ハリラヤハジ(イスラム教)、クリスマス(キリスト教)、など各宗教のお祭りを園でお祝いする

【取組みのポイント】

•衣服、食べ物など、こどもたちがイメージしやすい写真や絵 を壁面などで表現する(実際に関連する衣類を着たりもする)

•園児の背景に関わらず全員参加が基本。当然、保護者への対応として、オプトアウト(不参加を選択できる)であるが、不参加を望む保護者は非常に稀とのこと




















③ 経済:お金・仕組み・労働に対するまなび

トルコとドイツのプレスクールの事例です。(園名非公開)

【狙い】

•システム思考の初歩をこどもたちに学んでもらい、構造的に社会や経済をとらえる能力を身に付ける

【取組み】

•「水」をテーマに、システム思考を用いて、こどもたちがどうそのシステムを捉えるかを実験した

•大学と協力した学びのセッションに加えて、 Waterhole という絵本を題材にして学びを深めた。こどもたちに最後に、絵で表現してもらう取り組みを行った

【取組みのポイント】

•題材として 身近な「水」をテーマにしつつ、こどもたちが大好きな絵本を活用することで、関心を保ちつつ、学びを深めた

•学んだことを絵で表現する仕掛けを設けた













▲Waterhole (Graeme base 著)














▲システム思考を学び、 Waterhole を読んで子どもたちが描いた水のシステム


●まとめ

ユニークなこと・高尚なこと・大がかりなことを成し遂げるのではなく、やることは普通。だけど、こどもたちが自分で考える・関心を持ち続けることが重要だと考えます。

そのためにはどうすればよいのか、園で実践するための手順をご紹介いたしました。


① まなんでほしい領域を考える

② 関心が持てる工夫の上、情報を伝える

③ 問いを投げ、考えてもらう。表現してもらう

これらの活動をみんなで共有しあい、こどもたちにとってより良いものへ改善していく


③の問いの投げかけは自らの考えを促すもので、例えば「ごみをだすのはよくない」ということだけ教えるのではなく、ごみはどこへ行くんだろう、海が汚れるとどうなるんだろう、と考えることで、自分事化や、日々の行動を意味のあるものにすることができます。

しかし、関心を持てる工夫や、どのような問いを投げればよいのかなど、なかなか簡単にできることではありません。そこで弊社もこのような機会を通じで皆様と情報交換していき、他の園ではどのようにしているのか、どんなやり方が考えられそうかなどヒントを得る機会を設けていきたいと考えています。


●SDGsプログラム「ちきゅうふれんず」

幼稚園・保育園のSDGsへの取り組みを支援する活動の一環として、弊社が開発しました「ちきゅうふれんず」についてもご紹介させていただきました。

こどもたちが楽しく世界を学び身近に感じることで、自分で考え関心を持ち続けるをことを目的としたプログラムです。


●Q&Aへのご回答

セミナー後のアンケートにていただきましたご質問にご回答いたします。

幼稚園・保育園の方の実際のお話も踏まえつつ、弊社の考え方ではありますが、ご参考にいただけましたら幸いです。なお、一部質問は、実際のものから、ご覧になられた方すべてに伝わるよう、微修正させて頂いておりますのでご承知おきくださいませ。


Q1)シンガポールのプレスクールでは、宗教のお祭りを園でやっていると聞きましたが、具体的にどういったことをしているのですか?

A.

その宗教のお祭りにちなんだ衣類を着てみたり、食べ物を食べたり、(その宗教の造詣が深い)園の先生や保護者からこどもたちにお話をされたりするそうです。

また、実際にはエスニック(民族)グループと宗教には深い関連性があります。例えば、インド系であればヒンズー教、マレー系であれば、イスラム教といった感じです。ですので、宗教そのものというより、その宗教により関連が深いエスニックグループの民族衣装やごはんを食べる、といったことが多いようです。



Q2)こどもたちにSDGsに関する学びを提供することで起きた変化を教えてください

A.

世界の環境問題や貧困について学ぶ機会を作っている日本の保育園では、お絵描きをしているときに「紙も木でつくっているんだよね」、給食の時に「汚いお水を飲んでいる子もいるんだよね」と、子供たちの方から話題をあげるようになったそうです。

※弊社プログラム「ちきゅうふれんず」実施園のコメント


Q3)SDGsに関して、保育士の(こどもたちに対する)働きかけで特に有効だったことがあれば、教えてください

A.

直接こどもたちに伝える・活動してもらうことに加えて、こどもたちが自由に調べたり、見たり、触ったりするものを日常的に置いておくことが効果的なようです。たとえばですが、「水」について子どもたちに伝え、節水の大切さ、なぜ大切にしなければならないのか、ということを伝えることに加え、お水について絵本・本などを教室/保育スペースに、こどもたちが自由に見れるように置いておく、ということで、こどもたちの自発的な興味喚起を促す、などが考えられると思います。



Q4)保育士がSDGsを学ぶ方法や、取り組み方を教えて下さい

A.

SDGsへの学びや取り組みについては、ユニークなこと・高尚なこと・大がかりなことを成し遂げるのではなく、自分で考える・関心を持ち続けることが重要だと考えます。一見難しそうに見えますが、ひとつひとつのゴールはわかりやすく、こどもたちと一緒に考えることができるものです。興味をもってこどもたちと一緒に調べてみたり、できることはないか考えてみたり、といった小さなことの積み重ねが保育士さんの学びにも繋がるのではないでしょうか。

また、直接的な観点でいえば、たとえば手前味噌の話にはなりますが、私たちが提供するオンラインの世界交流では、こどもたち同士だけでなく、日本の保育士さん・先生と、海外の先生とのコミュニケーションの場も作っていますので、その点も活用頂ける点はあるかもしれません。こどもたちの交流を通じて、保育士さんたちご自身も、今まで知らなかった世界や文化について、様々な気づきがあり、とても刺激になった、というお話はよくお伺いします。


Q5)園におけるESDについて詳しく知りたいです

A.

EDSは17の目標の一つとしての位置づけだけではなく、他のすべての目標の実現に寄与するものです。持続可能な社会の創り手を育む教育であり、様々な問題を主体的にとらえ、身近なところから取り組みことで価値観や行動の変容をもたらし、ゴールの実現を目指して行う学習・教育活動を指します。

つまり、給食で残さず食べることを伝えたり、ごみの分別を教えたりするなど、多くの園で日常で実践されていることはESDの実践と言えます。


ちなみに、2017年3月に公示された幼稚園教育要領では、全体の内容に係る前文及び総則において、「持続可能な社会の創り手」の育成が掲げられています。


















Q6)シンクアロットからはSDGsに関してどのようなサポートを受けられるのですか。

A.

幼稚園・保育園のSDGsへの取り組みを支援する活動の一環として、弊社の開発した「ちきゅうふれんず」を提供しております。様々な国の人々と、遊びながら友達となり、文化を知り、サステナビリティについて考える全8回の動画プログラムです。

また、異国の同世代の友達とオンラインで交流し、多様な価値観を受け入れ、育むことができるオンライン交流も、SDGs・ESDの実践であると確信しています。


 

●オンライン説明会のご案内


SDGsセミナーでご紹介したちきゅうふれんず、弊社の提供するEN-TRY世界交流について、2022年度に向けたオンライン説明会を開催いたします。


みなさまからのご質問もお受けいたしますので、導入をご検討されている方や、もう少し詳しく知りたいという方はぜひご参加ください。本説明会では、実施園・保護者の方の声や、ちきゅうふれんずの無料トライアルなどもご案内いたします。


【日時】

3/3 (木) 13:00~14:00

3/10(木) 20:00~21:00

3/17(木) 13:00~14:00

3/24(木) 20:00~21:00


※全日程とも同じ内容です。ご都合の良い時間帯にご参加ください。

※途中入場・退場も可能です


【ご参加方法】

オンラインでの実施ですのでどこからでもご参加いただけます。

下記イベント登録フォームからお申込みいただいた方に、説明会用URLをお送りします。

数分以内にメールが届かない場合は、迷惑メールフォルダに入ってしまっている場合や、メールアドレスがまちがっている可能性がありますのでご確認ください。


もしくは、en-try_community@thinkalot.jp 宛に①参加希望の日程②貴園名③ご担当者名④ご役職⑤メールアドレス⑥電話番号⑦ご住所を記載いただき、「オンライン説明会参加希望」と記載してお送りいただいても大丈夫です。


みなさまのご参加をお待ちしております!

 

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