近年よく耳にするSDGs。未来を生きるこどもたちに大きく関わるものですが、実はよく分からない、こどもにはどうやって伝えれば?どんな活動をすればいいの?と悩まれている園も多い、難しいテーマでもあります。日本は少しずつ浸透しつつありますが、世界でも同じように、先生たちが工夫し、こどもたちが楽しく取り組めるようなアクティビティを考えています。
本日は、EN-TRY世界交流でシンガポールのYasmine @ Frankel Early Learning Centreが紹介してくださった、園での様子をレポートします!
●SDGs×幼児保育・教育
日本全国の小・中・高校生の保護者を対象としたアンケートによると、「こどもにSDGsに関心を持ってほしいと思いますか?」という質問に対して、「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答した方は95%以上でした。幼稚園・保育園の保護者を対象とすると割合は下がる可能性がありますが、多くの保護者がこどものSDGsに対しても関心を持っていることがわかります。こどもの将来に大きく関わるテーマである以上、保護者にとっても意義が大きいものであると言えます。
さらに、こどもにSDGsに関心を持ってほしい理由として大きかったのは、「自分の将来について考えるきっかけになってほしいから」「様々な価値観やバックグラウンドを受け入れられる人になってほしいから」「世界規模の課題について理解をしてほしいから」といった項目であり、SDGsへの理解や取り組みを通しての成長を期待していることがわかります。
※出所:Z会グループ 「小中高生の家庭の SDGs に関する意識調査」
それでは、幼稚園・保育園などの幼児施設はどのような役割が期待されているのでしょうか。
まずは社会の一員として、幼児施設の存在自体が一法人格としてのゴール達成への貢献であるといえます。何か特別な取り組みをしなくても、幼児施設としての役割自体がSDGs達成に向けた取り組みとなっているということです。次に、それに加えてこどもたちに対してSDGsに対する学びを提供すること(≒ESD)であると考えています。
※SDGsやESDについての解説はこちら
このコラムでは、具体的にどのような活動をしているのか、シンガポールのYasmine @ Frankel Early Learning Centreの実際の様子をご紹介します!
●Yasmine @ Frankel Early Learning Centreについて
Yasmine @ Frankel Early Learning Centreはシンガポールの保育園で、生後 2 か月から 6 歳までのこどもを対象としています。
楽しみながら学ぶ、ということを重視しており、こどもたちが喜んで遊びながら、その中で様々なことを身に着けていけるようなカリキュラムを設計しています。ですので、アプローチの工夫などによって、楽しみと学習のバランスを取った活動を計画しているそうです。
また、多様性に関しても、民族的、社会的、精神的な観点で学びを深めることを目標としており、EN-TRY世界交流による日本の園との交流は、多様性に関する体験の一環としてプログラムにとりいれてくださっています。
さらに、SDGsなどの社会の課題についても学ぶ機会を設けており、こどもたちが楽しんで取り組めるようにアートやクラフトをとおして考えを深められるようにしています。
●YasmineのSDGs達成に向けた学び
Yasmineでは、三つのとても大切なRとして、Reuse, Reduce, Recycle(リユース、リデュース、リサイクル)の活動をこどもたちと一緒に行っています。まずは分別から。ガラス、プラスチック、紙などを仕分けし、数えています。
いらないものは正しい方法で捨てましょう!
ビニール袋が海に流れ着いたら、ウミガメはクラゲだと勘違いして、窒息してしまうと教えているそうです。買い物の際には、代わりにリサイクルバックを使用する方が良いこともこどもたちは知っています。
次に、つかえるものは再利用できないかどうか、みんなで考えます。例えば、おもちゃ作り!
こちらは捨てるはずだった段ボールと髪を使って、「影絵人形」とステージを作りました。今回はプラスチックストローを使ってしまったのですが、次回は代わりに木のスティックを使おうと決めたそうです。
続いて、植物に関するアクティビティです。
土を用意して、果物や野菜から種を取り出します。そして小さな紙カップで発芽した芽を植木鉢に植え替えます。時間をかけて育てた植物は愛着がわきますし、食べる時には大切に食べよう、という意識が芽生えますよね。
日常の中でも学びの機会はたくさんあります。蛇口は優しくひねって、水は大切に使い、節水することを教えているそうです。
EN-TRY世界交流では、このような園での活動を発表しあう交流を実施することもあります。地球を守る活動を海外の友達と共有しあうことは、「地球を守る」という実感や達成感に繋がるそうです。
このような世界の園の取り組みは、オンラインセミナー「幼稚園・保育園のためのSDGsセミナー2023」でもご紹介しました。もちろん、日本の園の取り組みも!3/12(日)まで見逃し配信中ですので、ご興味のある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
また、園向けSDGsプログラム「ちきゅうフレンズ」も2023年版が公開されました!こちらの記事で詳しく紹介していますので、ご関心のある方はぜひご一読ください!
EN-TRYでは、このような世界の園の取り組みをご紹介していきます。アート&クラフトだけでなく、海外の教育方針やSDGsの取り組みなど、実践のヒントになるような情報をお届けしますので、ぜひInstagramのフォローやコラムをチェックしてみてください!
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